東大博士のHappyDays

阪大京大東大を渡ってニートもしました。自由っていいもんだ。

激闘:鼻血が6時間以上止まらなかった話

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この記事は、たかが鼻血と侮る全ての人に読んでほしい事件である。
6時間以上鼻血が止まらなかった人間はどうなったのかを綴る。

鼻血は突然やってくる

昔から鼻をよく触るくせがあった。
鼻がつまるのも嫌いだし、ムズムズするのも苦手だからだ。
先週の月曜日、ラボでいつものように作業をしていて何気なく鼻を触っていたのだろう。

ふと指を見ると、血にまみれたグロい状態
鼻から血が垂れていく感覚
書類の上に垂れている血

この時の僕はまだ、単なる鼻血になってしまった、くらいにしか感じていなかった。
この後、壮大な戦いになるとも知らずに、、

とりあえず落ち着いてティッシュを鼻に入れてみる。
一瞬でティッシュ全体は赤く染まり、鼻血がティッシュを飛び越えてあふれ出してくる。
これはまずい、となりトイレの個室に閉じこもることに。
一瞬のことだと判断した僕は基本的に上を向いて喉を伝わし、口に血を出して飲み込むことをしていた。
※この行為のせいで後々大変なことになる。

トイレならトイレットペーパーもあるししばらくすればなんとかなるだろう。。。
そう思い溢れる鼻血を止めようと、ティッシュを包んでは鼻に入れ、赤く染まっては新しいのに繰り返す。
これで30分くらいたっても、止まる様子がなかった僕は少しやばいんじゃないかと感じ始める。

ここで、鼻血が止まらない時の対処法を携帯で検索することに・・・
リサーチで判明した正しい鼻血の対処法は以下のようなもの
1.おちついて鼻をつまんで止血をする。→大体これで20分くらい我慢すればとまるらしい。
2.鼻血をのんではいけない。鼻からそのまま出すほうがいい。飲まないように下を向いてじっとするべきである。

というわけでおとなしく鼻をつまみ20分後・・・
鼻を恐る恐る離してみると、噴き出る鼻血、そして口から飛び出るヘドロのような血の塊。。
おそらくこれは、鼻から出なかった分の血が凝固作用によって粘度を帯びたものだと思われる。

そして何より、止まらない。
もう一度鼻をつまんで20分待ってみる。しかし鼻をつまんでいるときも、口に流れてくる血の感覚、鼻血を出していないほうの穴から出てくる血の流体。そして2回目の鼻つまみチャレンジもあっけなく失敗に終わり、このあたりで既に鼻血を出し始めてから1時間半が経過していた。これらくらいから、不安に襲われ、これはやばいんじゃないかとなってくる。
どうしていいのか分からずとりあえず親や彼女に連絡をしてみる。もちろん何も解決しない。

その後もしばらく色々なチャレンジをしてみる。
・ひたすら流して弱くなるのを待つ→ならない。出血の恐怖ですぐにやめた。
・冷たい冷気で鼻血を無理やり固める→出血自体は止まらない。
・鼻のつまむ位置をいくつかパターンを変えて止血チャレンジを行う→鼻を押さえる位置には諸説あり、根元だと主張する人もいれば、側面の柔らかい部分だという人もいる。
・それでも鼻血はとまらず3時間が経過。そのとき、、

密度たっぷりでつくった懇親のティッシュが上手く鼻に入り、とまった状態に。。
これはチャンスだ、、
研究室に戻り荷物を纏めて家に帰る。。このときに大学病院に寄ろうと思ったものの受付でほとんど門前払い。。
まあ止まるだろうし明日にでも耳鼻科に行こうと思ってとりあえず家に帰宅した。

しかしまったく終わっていなかった。
ティッシュをとると止まってなかった血が流れだし、口からはこれまで外に出てこれなかった血が微妙に固まったヘドロが口からここぞとばかりに吐き出てくる。ほとんどゾンビ状態である。

慌てて家のトイレに飛び込む、また繰り返しである。
鼻血を止めようとティッシュを入れて止まらず、鼻を押さえても止まらない。
こんな状態が更に2時間以上続いた。日付も変わりそうになり、もう涙も鼻血もこぼれて止まらない状態。

このときに確信を得た。
これはただ事ではない!やばいことになっている。

病院に頼るも鼻血の症状別ヒエラルキーは低い

慌てて病院に救急で受け入れてくれないかと訴えるもどこも鼻血を相手にする気もないように門前払い。
なんて理不尽な・・・こんなことがあるのか。。
こんなにつらいのに
こんなに訴えてるのに

不幸にもこのあたりには超ビックな大学病院しかない状態だった。
もうだめだこれじゃあ僕もえらいことになる、と腹をくくって家を出ることにした。そう大学病院に押し掛けるんだ。



大学病院についた僕は救急で診てもらえないか伝えた。さすがに向こうも6時間以上に渡って鼻血が出ている状況、僕の極めて不調な様子を見て医者の方に掛け合ってくれた。そして無事に診察を受けることになった。

ずっと抱えていた不安が和らぎ、鼻血を必死に抑えながらも一抹の希望を抱くことができた。

そして僕は、倒れた。




貧血性のものだろう、気が緩んだ瞬間目の前がくらっとしてそのまま床に倒れてしまった。身体には力が入らない。そのままベットに運ばれて、治療へ。


麻酔を打たれ、鼻の傷を塞ぐ治療が行われた。皮膚を焼いて塞ぐといった方法である。
多少痛かったが、この苦しみから開放されるならどんな治療も我慢できた。処置してくれた医者と看護師の方は僕にとってスーパーヒーローに見えた。

そうして、僕の鼻血は止まった。

治療中、あまりにも気持ち悪くなって戻すこともあった。口からは今までの血が固まったヘドロがここぞとばかりに出てきて、気持ち悪さの原因はこれだと分かった。鼻血があったら飲んではいけない、これは本当に気をつけたほうがいい、僕の場合は吐くことでほとんどを戻すことができたが、そのままだと消化器官にもっと負担をかけていただろう。


点滴をしばらく受け、その後数値が正常であることが確認されて僕は家に帰ることになった。

午前3時、僕は自宅に帰宅した。
涙の帰宅である。鼻から何も出てくることなく安心して寝れることが本当に幸せだった。


この事件を経て僕は誓った。
鼻を労る。むやみに触らないことをだ。

僕らの身体はちょっとしたことで壊れたりすることがある。正常に機能をすることがいかに幸せなことなのか、改めて認識する機会となった。


ちなみにこのあと数日も体の状態はよくなかった。

1つは呼吸が上手く出来ないというものである。
これはおそらく鼻血が気管に詰まってたんじゃないかと思う。数日後、口から突発的に血の塊が出てきて、呼吸困難はおさまった。
コ〇ナウイルスなんじゃないか、致死率など目まぐるしく自分の生に対して危機感を抱いて睡眠をする日々は苦痛以外の何物でもなかった。気管に鼻血がつまるのは上を向いて血を飲み込んでしまおうとしていたからだと思うし、絶対にこれはやってはいけないことだと悟った。

2つ目は貧血気味な状態が続いた。
研究室に行っても、顔が白いねなどと周りに不安がられ、こういうご時世なので早く帰るように促されたりもした。
とりあえず積極的にレバーを食べる日々が功を奏してか、次第に顔色も元気になっていった。

以上が今回の戦いのすべてである。教訓として以下を挙げたい。
1.1時間以上鼻血が止まらないときは、日が暮れる前に耳鼻科にかけこむ
2.夜間の場合などは鼻血で受け入れないところもあるので、病院に駆け込むか、救急車を呼ぶ。
3.鼻血に対処するときには絶対に上を向いたり血を積極的に飲んだりしない。

老化を食いとめるエピジェネティック制御機構

老化についての生物学的知見を集め、アンチエイジングに繋げる沢山の研究が報告されている。
論文ウォッチでは、Cell reportsに掲載された抗老化サプリで卵子の質が上昇することを示した研究が報告されていた。実際に寿命を延ばせるのかどうかを示す臨床研究のデータをとるのは非常に難しいため、それを卵子の質という別の視点から評価した面白い論文だと思った。

Cell metabolismに紹介されたAn Acetylation Switch of the NLRP3 Inflammasome Regulates Aging-Associated Chronic Inflammation and Insulin Resistanceは老化の原因である炎症を引き起こすインフラソームの形成がアセチル化によって制御されることを示した論文である。インフラマソームは自然免疫系として知られ、さまざまな病原性ストレス誘導因子によって形成されるタンパク質複合体である。インフラマソームは炎症性サイトカインの分泌を誘導し、これによって引き起こされる慢性的な炎症が高齢化とともに増加することが知られていた。

そこで研究チームはインフラマソームを形成するタンパクであるNLRP3の翻訳語修飾をLC-MS/MSによって調べ、アセチル化されていることが分かった。すなはちNLRP3のアセチル化によって炎症が誘導される。このアセチル基がSirt2タンパクによって脱アセチル化されることで炎症が抑制されることを示し、インスリン耐性やグルコース恒常性についても改善する効果を示すことEx vivo, In vivoで丁寧に調べている。

もともと長寿遺伝子としてSirtuin遺伝子群は知られていたため、とんでもない驚きではなかったが、老化抑制メカニズムを詳細に解き明かした非常に気持ちのいい論文だった。

エントリーシートの本当のコツ


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研究室の後輩からESの書き方を良く聞かれるし、添削もたくさんする。自分の就活からもう3年が立つのかと思うと驚く。

 

僕は大企業しか出してないがエントリーシートで落ちたことがほとんどない。

 

総合商社、テレビ局、ビール大手、吉本興業パイロット全部受かった。

 

芸に富んでなくても受かるエントリーシートにはコツがある。

 

それは分かりやすいストーリーで書くことだ。

例を書くのも面倒なので書き方だけ述べる。

 

↓結論

↓前提、目標

↓困難

↓解決法

↓工夫1

↓工夫2

↓結果

↓学び

 

このストーリーで論理が破綻しないように書くことである。

 

本当にこれが大切。

この構造でエントリーシートを書いておくと整理ができて面接でも強い。

 

例を挙げても良かったけど、まあいいや。

 

ぜひ参考に

【SHOE DOG】NIKE創設者は僕の年で行動を起こし大物になった、僕はどうする。

最近陸上界では、ウェイパーフライが話題となっている。色々あったが、結果的に規制にはつながらないようだ。NIKE者の研究開発グループの努力の結晶が今回のような世界を圧巻するイノベーションに繋がったという事実に身震いを覚えるほど感動した。これこそがものづくりのイノベーションだ、と

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感想(0件)

そんな今、改めてNIKE創設者フィル・ナイトの自伝SHOE DOGを読み返してみた。以前に一度読んでいたのだが、そのときは普通の学生のときで、会社を辞めてアカデミックの道を志す覚悟の今読むことで違った感情を抱くのではないかと思ったのだ。

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感想(10件)

二度目の熟読は胸が熱くなるようなことが多かった。
僕が感じたこと、そして印象に残った言葉をまとめたい。

創設者フィル・ナイトが人生を変えようと行動したのは26歳

イムリーだな、と思ったのはフィルナイトが人生をかけて大きなことをしたいと一念発起して一番最初に行動に移したのが今の僕の年26歳であったということだ。26歳で彼は仕事を辞め、お金を父親に借りて世界数か国を周る”自分探しの旅”のようなものを行っている。もともと靴についてのアイデアはあったようだが、そのアイデアを実際に行動に移したのがこのときだ。僕がこうやってブログをつづっているのに対して、フィルナイトはアディダスやプーマを倒すことも視野にいれて走りだしたのである。
ここで思ったことは1つである。

そんなにゆっくり考えている時間はないということだ。

ちなみに僕の中でやってみたいアイデアはある。世界を少しでもいい方向に進められるんじゃないかと思うアイデアがある。ただそれをゆっくりゆっくり煮詰めるような時間はないということだ。
焦りが生まれたというよりも、本気で考え、行動するフェーズに立たなければいけないと気合を注入された気がした。

圧巻のハッタリ、そして信念

読んでみればわかるが、フィルナイトの行動は無茶苦茶である。話の勢いで、ない会社をあると言い、靴の契約を結ぶ。あとから帳尻を合わせるように必死で努力して成果を出す。ホリエモンがハッタリの流儀というような本を出すくらい、これはある意味重要な能力なのかもしれない。とにかく出来ると言う。そして何が何でもやりきる実行力を改めて学んだ。しかしここまでやれるのは彼が靴を通じたビジネスに圧倒的な信念を持っていたからだろう。フィルナイトは次のように言っている「信念だけは揺らがない」と。

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陸上競技で培われた人生観に心奪われる

僕も陸上競技に人生をかけてきた身なので、フィルナイトの厳しくストイックな人生観に強く共感してきた。
例えば以下のようなことを言っている
”競争のコツは忘れることだと、私は陸上から学んだ”
”自分の限界を忘れる。不安、苦痛、過去も忘れる。もう一歩も動けないという内なる叫びや甘えも忘れる”

何かに向かって頑張っているとき、孤独感、悲しさ、不安など多くの煩悩に襲われる時がある。だが競争で勝つためにはそういった感情をすべて忘れることが大切だと、忘れられなければそれと向き合うことになってしまうというのだ。極限レベルでの集中力だと思う。こういった精神状態を最近僕も少しずつ理解することが出来ている、本当に信念をもって頑張るとき、あらゆることを忘れて今に集中できるんだ。

アスリートの感覚で人生を生きる、とにかく勝ち続けて走り続ける

多くのアスリートにとって、競技生活で感じる感動はこれ以上にないほど素晴らしい。これは、たった一瞬の舞台に人生が濃縮されており、その中での競争は何か特別で神聖なものであるように感じるからである。ランナーは競争を通じた快感を求めて走り続けるのだと思う。そして現役でなくなったとき、そのような感動が見つからず人生に絶望する人が多いのかもしれない。僕にもそんな不安はある。可能なら陸上競技のような競争で得られる感動、高揚感、馬鹿でかい夢を一心に追い求める人生を歩みたいと思う、そしてフィルナイトもそう思った。そして彼はビジネスの世界で走り続けた。

つまるところ、この本を読んで彼の初心に心の底から共感した。アスリートのように生きていきたいと思った。
”何が起ころうとも立ち止まるな”
このフィルナイトが自分自身にかけたアドバイスを、僕自身にもかけたいと思う。



この本の中にはアスリート精神をくすぐる彼の価値観が多く散りばめられている。
是非一度あまりに壮大な夢を追い求め、成功した彼の人生を読んでみてほしい。

ちなみにフィルナイトは26歳のときに、女の子と付き合ったことすらなかったそうだ。
一心不乱の中で走り続ける中で、彼は素敵な女性と偶然出会い、結婚する。
恋や結婚も、そういうタイミングや運命的なものがあるものらしい。

この価値観については、とりわけ信じたいと思った。

お金のない博士学生はキムチ鍋を食べろ

博士学生で大切なのは心の健康と身体の健康、特に節約だとカップラーメンや断食なんかしていたら研究どころではありません。

 

だがしかし、気持ちは分かる。そんな充実した定食を食べたり自炊なんてしてたらお金も時間も逆に食われてしまう。だから、とにかくお金がかからず、時間も手間もかからず、健康的な食事をする必要があるのだ。

 

筆者はここのところ、インスタント食品や、ラーメンや牛丼など中心に生きていたら体調が何だか悪くなってきた、、とんでも忙しくてずっと続けていた朝のオートミール生活も中断をせざるを得なかった(くそう)。特に野菜が食べれていないしお世辞にも健康的な食生活とは言えなかった。

 

たから僕は考えた、何かないか、何かないかと。そして思いついた、いや、他の人のブログを見てこれだと思った!

 

それが!

 

キムチ鍋

 

である。

そうキムチ鍋なんである。ざっと切って肉バッと入れて食べるだけ、寒い今にもってこいだし、鍋って何日間か持つんじゃないか、それならかなり節約になるのではないかと思ったのである。

 

というわけで!開催します。

夜ご飯!キムチ鍋キャンペーン🙌🙌🙌

 

購入した食材はこちら

白菜半玉 200円

白ネギ3本 150円

手羽元400g 300円

キムチ鍋のもと 500円

 

これをこうして


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こうじゃ


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この日は白菜1/3くらいと葱一本、手羽元は半分くらい使って作った。凄い!たくさんの野菜だ野菜だ〜涙涙涙

 

ああ、染みる、温かい。美味い。とにかくうまい。身体にいいに決まっている。健康的に決まっている。よる遅いからご飯とか入れるのは止めたけど完璧な夜ご飯だ。

 

残った汁は鍋ごと封をして冷蔵庫にポン!洗うのは箸と包丁とまな板とお皿1枚だけ。

 

調理時間は15分。

 

素晴らしい、なんて素晴らしいんだ。

心も体も幸せでいっぱいである。

 

明日も同じ感動を得られるだろうか。

 

まだ僕は明日のキムチ鍋にワクワクしている。

 

冬と博士学生はやっぱりキムチ鍋に限るね。

 

 

 

実験があまりにも上手くいかないと気が滅入ってブログさえ更新できなくなる

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博士学生の生徒は通常の学生と比べて鬱になる割合が6割高くなるという報告がNatureにも掲載された。さらに小耳にはさんだ話だと博士学生の死亡・行方不明率は1割にものぼるそうな。そんな過酷な道であるアカデミックの日々ではあるが、本質的に博士学生の精神状態に影響を及ぼすのは間違いなく研究の進捗である。

ここ数日ブログが更新できなかったのは、僕自身の研究があまりにも前に進まず、気が滅入ってしまっていたからに他ならない。
そんなの言い訳だと言われるかもしれないが、そういうもんなんだ、僕だって人間なんだ。

どんなに鋭く仮説を立てようとも、全てが上手くいくわけではないし、得られた失敗すら成果と受け取って冷静に分析して次の一手を打たなければいけない。分かってはいるものの本質的な進捗がない状況はつらい、今回はたかが1か月弱だったがそんな時期を振り返ってみたいと思う。

博士学生のプレッシャー

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博士学生に与えられている期間は基本的に3年間。それ以上在籍することもできるが、学費なども考えると3年で卒業できるに越したことはない。3年という長期を使って何かに打ち込める貴重な期間であるが、その期間は研究活動においては意外と短い。新しい研究テーマを博士課程からスタートさせた場合だとなおさらである。例えば実験の新たな系の構築だけで1年使うことだって普通にあるし、実際僕は実験系の構築にこの1年を費やしている。刻々と過ぎていく時間の中で、あっという間に過ぎていく毎日は充実とは裏腹に恐怖なのである。

進捗が出ないと卒業が難しくなり、自尊心も削られていく。研究成果のみが評価されるこの世界で生きていくためには少しの遅れもプレッシャーとなって降りかかる。研究のことで頭がいっぱいになり、ごはん中も寝るときも風呂でもぐるぐると思考が回る(考えたとこでどうにもならないことが多いのにもかかわらず)。精神状態は本当に大切だ。相乗的に色々なところに影響が出る。例えば今回のようなブログを書く習慣が阻害されたり、論文や本を読むときも集中力が散漫になる。結果として楽できるテレビやNetFlixを見たり、リラックスと称したさぼりに走ってしまうのである。

僕の場合は約3週間全く同じ作業を繰り返し行い、一向に上手くいかなかった。原理的には確実に実現可能で、普通に2日あればできることを僕は1か月間試行錯誤を繰り返した。その実験が上手くいかない限り研究を前に進めることができないため、何が何でも成功させなければいけなかった。そう自分でプレッシャーをかけるほど、焦り、悩み、苦しんでしまった。メンタルに自信はあるものの簡単に不安定になれるのだと驚くほどであった。

進捗がなかった時期を振り返って

とにもかくにもストレスがすごかったと思う。焦りとストレスで、本質的な解決策を見出すのに時間がかかってしまった。冷静になって多少時間がかかってでも、一から確実に上手くいく方法を試していればこんなにも無駄な時間を過ごすことはなかったと反省している。自分への教訓は、焦りに流されて本質を見失って、付け焼刃の解決策で乗り越えようとするのは愚かだということだ。少し後戻りしてでも、確実に成功するための手段に大きく切り替えることも時には必要だ。そのほうが、乗り越えた成果がまぐれでなく、自分の力となる。

博士学生におすすめしたい気晴らし

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僕は次からこのような壁にぶつかったときに出来るだけストレスに惑わされず冷静に対応するように心がけたいと思ってはいる。
だがしかし、研究にストレスはつきものだ。以下に僕がお薦めするストレス解消法を述べておく。リフレッシュという目的だけでなく、自分の精神を健康に保つための方法としてお薦めしたい。

1.英語や統計などの勉強に費やす。
研究者の一番苦しむポイントは、研究しか生きていく道がないことである。その人生の賭け方もかっこいいとは思うが精神的に苦しいときは多い。アカデミックで生きるのが苦しくなっても転身できるスキルがあると自信があればかなり精神的に楽になれる。というわけで自己研鑽となる勉強に費やすのは精神を穏やかにすることにも繋がるいい方法だ。僕はあまり幅を広げすぎず英語や統計くらいに集中して勉強をしている。

2.好きな先輩や仲間と会う。
愚痴っても相談してもいいだろう。コミュニケーションから生まれる産物は多い。思いもよらぬアドバイスをいただけたり、モチベーションを高めたり、そこにはいろんな可能性がある。閉じこもりたい時こそ、誰かに会おう。

3.走ったり、カラオケに行く。
研究が上手くいかないときに感じる不完全燃焼感をそのままにしておくとストレスとして積み重なる。僕の場合は全力で走ったり、カラオケで全力で歌ったりすることで有り余ったパワーをぶつける。そうすると心地よい気分になり、終わったときには晴れ晴れしく、しゃーないまた頑張るかって気分にさせてくれる。もやもやをそのままにしてはいけない。研究でぶつけられないエネルギーは早めに何かにぶつけないと腐って体内にたまっていく。

博士学生が大切にすべきは如何に上手くストレスと付き合うか

没頭するのはいいが、気負いすぎるといい結果はでないというのが僕の経験からいえる。自分を追い込みすぎてるなーって思ったときは意識的にふわふわするように気を付けている。そうしないとクリエイティブなものは生まれない。色んなもので頭を埋め尽くしすぎてもいけないんだと濱口秀司さんの本を読んで感じたのでいい按配を自分の中に構築しようと努めていきたい。イノベーションの生み方をメソッドとして構築されており、すごく衝撃的な本だったので是非読んでみてほしい。

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運動による代謝変動を調節する鍵遺伝子の発見

f:id:nabelab:20200110122811j:plainこんにちは。
個人的に凄く面白いと思える論文に出会えてご満悦のわたなべです。
論文タイトルはDissociation of muscle insulin sensitivity from exercise endurance in mice by HDAC3 depletion(HDAC3欠損マウスでは運動耐久性と筋肉におけるインスリン感受性の関係性が解離する)です。

2型糖尿病やそれに付随するインスリン耐性については筋肉によるグルコース取り込みの低下が一つの要因として知られています。また、過剰な脂質が毒性を示し、インスリンシグナルカスケードが崩壊することなども要因として知られています。しかしながら長距離選手などのアスリートは筋肉中に多くの脂質を取り込みつつも、高いインスリン感受性を示すことが知られており俗に「Athlete paradox」と言われています。このように筋肉はグルコース消費に大きな役割を示しますが、それと同時にどのように脂質を貯蓄・消費していくのかも重要であると考えられています。本研究ではEpigenome modifier histone deacetylase 3(HDAC3)が骨格筋においてエネルギー代謝の調節に大きく関与していること、そしてそれが概日時計によって制御されていることを示しました。

非常に多くの遺伝子、代謝、表現型について見ていますが大枠は以下の通りです。
・骨格筋特異的HDAC3遺伝子ノックアウトでは運動耐久性が向上、筋疲労度低下がみられ、このときにグルコースの取り込み低下及びインスリン耐性が引き起こされる。
・HDAC3がFasting時や運動時に様々な遺伝子をエピジェニックに制御されます。これによって影響を受ける遺伝子はプリンリボヌクレオチドサイクルなどがあり、これによるアミノ酸代謝の変動がクエン酸サイクル中間体を補充するanaplerotic reactionとなりエネルギー源となります。同時にミトコンドリアの酸化的リン酸化、脂質のβ酸化が活性化、グルコースの取り込みに必要な遺伝子はDown-regurationを受けるといったダイナミックな代謝変動が起こる。これによりエネルギーの利用はグルコースから脂質・アミノ酸が優先される方向に切り替わる。
・このHDAC3自体は概日時計によって周期的に制御される。

論文の内容を多少理解すると様々な考えが頭の中を駆け巡ります。
Fastingによって確かに脂肪が消費されやすくなるが、概日時計で制御されるのであればその効果すら周期的に変動する可能性があること。また、アスリートの立場で考えると、睡眠時にはある程度のエネルギーをとっておかないとアミノ酸などがエネルギーとして消費されてしまうのではないか、すなわち筋再生、筋恒常性維持の観点からはマイナスなのではないか。さらに練習する時間は夕方~夜にかけて、空腹状態で運動をすることが最も痩せやすくなり、かつ長距離選手においては最も適した練習のタイミングなのであろう、だがパワー系にとってはどうなんだろう。などなど。

やはりExerciseによる生体への影響は非常に奥深く面白い。
今後もこういった論文についてはWatchしていきたいし、得られた知見を自分の競技力向上に活かしていければと考えている。Exerciseに限らず、様々な環境要因に反応してダイナミックに変動する我々の身体にはまだまだ秘密がいっぱいだと考えるし、こういった局所的な生体の適応メカニズムを明らかにすることは健康の質の向上レベルでなく、革新的な医薬品の開発や食による最適なアプローチなどが拓けるかもしれない。